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2022/06/23

パワーハラスメントが生じた場合や、ハラスメント防止措置についてお悩みの方へ

1 はじめに


パワーハラスメントは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とされています(厚労省「職場におけるハラスメント関係指針」)。上司から部下に対する行為がイメージしやすいですが、先輩後輩間や同僚間、部下から上司に対する行為も含まれています。

 

法的な根拠としては、労働契約法5条において、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という「職場環境配慮義務」が使用者に課されていますし、労働施策総合推進法と上記厚労省の「職場におけるハラスメント関係指針」により、各種ハラスメントに対する防止対策も規定されており、これらの義務に違反してパワハラなどのハラスメント行為を放置することは許されません。

 

会社内でのトラブルとしては、①ハラスメント行為による被害者側労働者から、職場環境配慮義務違反による損害賠償請求がなされる場合が典型ですが、②ハラスメント行為を行っていたと疑われ、懲戒等の処分を受けた労働者から当該懲戒等の有効性を争われる場合もあります。

 

2 具体的な類型


パワハラの具体例については、上記厚労省指針によりまとめられた類型が有名ですし、参考になります。

 

類型
⑴ 身体的な攻撃 暴行、傷害
⑵ 精神的な攻撃 脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言
⑶ 人間関係からの切り離し 隔離、仲間外し、無視
⑷ 過大な要求 明らかに不要な業務や実行不可能な業務の強要
⑸ 過小な要求 能力や経験とかけ離れた程度の低い業務の命令を行うこと、仕事を与えないこと
⑹ 個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること

 

3 義務化される防止措置


令和2年6月1日に、改正労働施策総合促進法が施行され、「職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置」について、令和2年6月から大企業の事業主に義務化された上、さらに令和4年4月から中小企業の事業者にも義務化されます。

事業主が必ず講じなければならない具体的な措置は次のとおりです。

 

事業主の方針等の明確化及び周知・啓発 ① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること

② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応 ⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること

⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと

⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと

⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)

合わせて講ずべき措置 ⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること

⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

 

4 会社の責任


ハラスメント行為に基づく被害について、会社が「注意義務に違反した」と評価される場合には、会社に責任が生じることになります。ハラスメントは、会社内での業務に関連して行われるものであるため、ハラスメントに該当するかどうかの判断が難しいケースもあります。そのため、一般的には、「会社がどのような注意を払うべきだったか」「会社が講じるべき措置はどのようなものだったか」を検討した上で、当該注意が払えなかったことや措置が取れなかったことが、通常の事業者として仕方がないことなのかどうか、という側面から責任が判断されることになります。

 

しかし、上記のような法律により義務化された内容が順守出来ていない場合や、指針に具体的に示されている内容について実施できなかったことは、基本的に通常講じるべき措置が講じられていなかったと評価されることになります。したがって、上記の防止措置義務化については、事業主としてはきちんとした準備が必要です。

 

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顧問弁護士サービスのメリットについてはこちらをご覧ください。

 

もちろん、顧問サービス以外のスポットでのご利用も可能です。

 

パワーハラスメントが生じた場合の対応や、ハラスメント防止措置などに悩まれた際は、お気軽にアステル法律事務所にご相談ください。

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