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2022/09/15

ストレスチェック制度導入

労働安全衛生法の改正により,平成27年12月1日からストレスチェック制度が導入され,労働者50人以上の事業所においては,毎年1回のストレスチェックの実施が義務付けられました。これは,労働者が自己のストレス状態をきちんと把握して,それに応じた対処をすることで,「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止することが目的とされています。

 

今回導入されたストレスチェック制度の要点は以下の通りです。

①ストレスチェック実施の義務付け


事業者は,常時使用する労働者に対して,医師,保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施することが義務付けられます。但し,労働者数50人未満の事業所については,当分の間努力義務とされています。

 

 

②検査結果の通知


ストレスチェックの検査結果は,検査を実施した医師,保健師等から直接本人に通知され,本人の同意なく事業者に提供することは禁止されます。

 

 

③実施後のフォロー


ストレスチェック検査の結果,一定の要件に該当する労働者から申出があった場合,医師による面接指導を実施することが事業者の義務となります。また,この申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されます。事業者は,面接指導の結果に基づき当該労働者の健康を保持するために必要な措置について,医師の意見を聴かなければなりません。

 

 

④労働者の実情を考慮した措置の実施


事業者は,医師の意見を勘案し,その必要があると認めるときは,労働者の実情を考慮して,就業場所の変更,作業の転換,労働時間の短縮,深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません。

 

労働者が業務に起因してうつ病等を発症するケースは増加しており,業務と発症に因果関係が認められる場合には,事業者の安全配慮義務が問題となります。

 

この点,近時の最高裁判決である東芝事件(最二小平成26年3月24日判決)では,うつ病に罹患して休職し,休職期間満了後に解雇された社員が,解雇を違法無効として安全配慮義務違反等による損害賠償を求めました。最高裁は,「使用者は,必ずしも労働者からの申告がなくても,その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っているところ,上記のように労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には,上記のような情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で,必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるものというべきである」と判断し,東京高裁の労働者側敗訴部分を破棄し,東京高裁へ差し戻しました。

 

 

今回のストレスチェック制度の導入や,上記最高裁の判断からすれば,事業者において,労働者の業務負担が適正か否かをきちんと把握する義務があり,その上で,変調を来す可能性のある労働者に関しては業務軽減等の適切な措置を講じる必要があるということになります。労働者のメンタル不調に関して,より高いレベルの安全配慮義務が事業者に求められることになったと理解すべきでしょう。

 

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