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2023/01/19

研修費用の返還請求における注意点

会社は,従業員の能力向上等のために,会社から費用を支出して従業員を留学や研修に派遣したり,資格を取得させたりすることがあります。この際,会社としては,留学・研修や資格取得のあと一定期間の勤務継続を条件とし,その期間内に辞める場合には留学・研修費用を返還しなければならない旨定めることがあります。
しかし,場合によっては,その返還義務の定めが,労働契約法16条が禁止する「違約金・賠償予定の定め」にあたる違法無効なものとされるおそれがあるので,注意が必要です。
返還義務を定めるにあたっては,次の点に着目する必要があります。

 

①留学・研修の目的は何か,資格は社外でも役に立つものか


業務に具体的に結びつくものであればあるほど(業務関連性が高いほど),会社が受忍すべき負担とされ,従業員に返還を求めるのは難しくなります。逆に,取得した資格等が社外でも役に立つような(従業員個人の利益になるような)ものであれば,返還義務の定めの有効性が認められやすくなります。
たとえば,留学・研修が業務に関する特殊な技能を学ぶものであったり,関連企業での研修であったりすれば,業務関連性が高いため返還を求めるのが困難になります。他方,一般的な語学研修のようなものであれば返還義務の定めの有効性が認められやすくなります。

 

②業務命令があるか


会社が業務命令で特定の従業員を留学等に行かせたりする場合には,業務関連性が高いこととなり,返還を求めるのが困難となります。他方,不特定多数人に希望者を募って,留学等に行くかどうかを従業員個人の自由な意思に委ねている場合には,返還義務の定めの有効性が認められやすくなります。

 

③金額はいくらか


労契法16条は,高額な違約金等が定められていることで退職の自由が制限されることを抑止しようというところに趣旨があります。
このため,従業員に返還を求める金額が高額になるほど,違法とされる可能性が高まります。どの程度まで許されるのかは,当該従業員の賃金や上述の業務関連性の程度等も考慮したうえでの個別的な判断になるでしょう。

 

 

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